香港から、はじめまして

香港在住11年、百万ドルの夜景の外周部に位置する新界のタイポという街で暮らしています。我が家はスリランカ人の夫と娘2人、そして去年から飼い始めた犬の4人プラス1匹家族。夫婦ともにアウェイの土地で、こんなに長く住むことになるとは引っ越してきた当初は思いもしませんでした。

 

香港での生活の魅力は?と聞かれたならば、

私だったらこう答えます。

 

・都市ライフと自然が身近

・さまざまな国の人がいて、異文化交流が面白い

・食材が豊かで医食同源を体感できる

 

「都市ライフと自然が身近」というのは、百万ドルの夜景のイメージから外れているように感じますが、実は香港には自然が多く残され、海辺や山歩きが身近に楽しめます。

 

特に山歩きに関しては、トレイル入り口までのアクセスがよいため、山登りが日常的に行われ、実際に香港に住み始めて山登りが趣味になったという方々も少なくありません。

 

実は私もそのひとり。トレイルウォークなど日本にいる頃は考えてもみませんでしたが、今では毎週少なくとも2回は6〜8キロのトレイルを歩いています。

 

ちなみに、自然が身近なネタとしてもう一つ。山腹に面した我が家のキッチンからはお腹が真っ赤な野鳥が飛び立つ姿や猿の親子がフェンスを渡る姿が見えることがあります。猪やヘビにも出くわすので、こっちの方はかなり要注意。香港の中心部まで車で30分ほどで到達できる距離ですが、こういった野鳥や野生動物たちが普通にお目見えすることは、おそらくガイドブックには書かれていない香港のトリビアではないでしょうか。

 

二つ目の魅力に挙げた、「さまざまな国の人がいて、異文化交流が面白い」について。これは国際都市香港ならではの魅力です。数年前に比べ、外国人率は減ってはいるものの、それでもまだ国際色豊かなことには変わりありません。カレンダーにはこの土地でメインとなる旧暦のイベントに加え、イースターホリデーやらクリスマスホリデーやら、祝日が目白押しです。

 

こちらで知り合ったスペイン育ちのデンマーク人の友人、ジュイッシュのアメリカ人と結婚したイスラム教徒のインドネシア人の友人、スペイン人の母を持つスリランカ人の友人など多文化のバックグラウンドで育った方々の話を聞くと、考え方は色々あるのだなあと思うとともに、価値観を揺さぶられることもよくあります。

 

3つ目の「食材が豊か」なことは、おそらく食の都のイメージから想像できるかもしれません。

 

亜熱帯という土地柄、日本でいう夏の食材に近いものが特に豊かです。トロピカルフルーツも種類が豊富で、マンゴーやパッションフルーツ、スターフルーツ、ドラゴンフルーツ、ライチ、マンゴスチンなど、それぞれの果物にもさらに違ったバリエーションがあり、鮮やかな色や変わった形は見ているだけでハッピーになれます。

 

それぞれの街には街市と呼ばれる市場があり、新鮮な肉、魚、野菜から漢方食材までを求めて買い物に来る人々で毎日朝から賑わっています。香港の家庭料理には季節に合わせた具材や漢方食材を使ったスープがよく食卓に上り、これは特に季節の変わり目や湿度が高い時期に食べると、身体に効いているとしみじみ実感。漢方食材が普段の食生活に根付いていることに納得させられます。