シンガポールの変わり種法律いろいろ

 

家の前の道路沿いには街路樹としてマンゴーの木が植えられています。このところ、いい具合に熟し始め、たわわになったマンゴーがずっと気になっていました。そんな折、犬の散歩に出かけた際に、長い棒の先にネットがついた収穫器具でマンゴーを取っているおじさんを見かけ、「定期的に収穫する人がいるのだなあ」と思って見ていると、マンゴーを取るおじいさんに向かって怒鳴りながら写真を取っているおじいさんがもう一人。何が起こっているのかと思っていたら、怒っていたおじいさんがこちらに振り向き話し始めました。

 

「あのジジイ、マンゴーを勝手に取りやがって!街路樹のマンゴーは政府の管理下で、シンガポール国民みんなのものなんじゃ!政府が収穫して、国民にわけてくれるんだ。勝手に取ってるのをオフィサーが知ったら、マンゴーひとつにつき500ドルの罰金だからな!あのジジイ、かなり収穫してるから相当な罰金だぞ。見てろ、ワシが通報してやる!」

 

街路樹のマンゴー取ったら、ひとつにつき500ドルの罰金!?ホントにホントなのですか!?

 

おじいさんの言葉はさらに続き、

犬の糞もな、ちゃんと始末しないとそれも罰金だぞ」と。

 

「知ってます知ってます」とおじいさんに言いながら、心の中で愛犬に向かってテレパシーを送る私。間が超絶悪い私の坊や、今ここで絶対に粗相をしてくれるなよーーー!

 

ちなみに犬に関するルールには次のようなものがあります。

  • 公共エリアでリードをつけていないと最高で罰金5000ドル
  • 犬の糞を始末しないと最高で罰金1000ドル

基本的には、これらのルールは「見つかった場合」や「通報された場合」なので、どれほど厳格なのかなあと思っていたのですが、2021年にはペットのダックスフントのリードを外していが飼い主さんが2800ドルの罰金を科されたというニュースがあったようです。まあ、こちらはそれ以前に他の犬や人に何度となく噛み付いていた模様。

 

マンゴーに関しては一つ500ドルの罰金かどうかは定かではありませんが、a)国有地・公共の場所にある木の実は誰の所有物か b)国有地・公共の場所に生えている木の実を(i)(落ちているものを)拾い集める場合、(ii)摘み取る場合の罰則は何かという国土開発省への質問に対し、次のような回答がなされていました。(2019年の質問)

 

”国有地にある木、およびその実は国家の所有物です。

国立公園局(NPartks)は、国有地にあるほとんどの木を管理しています。国有地にある木から実を摘みたい場合や、落ちた実を集めたい場合は、NParksに許可を申請する必要があります。”

許可なしに公園でこういった行為を行うと、最高で5000ドルの罰金が科され、自然保護区や国立公園の場合では、最高で50000ドルの罰金および最大6ヶ月の懲役が科される可能性があるとのこと。

 

もうマンゴー見るたびに500ドルが頭の中でちらつきます。

たわわに実ったマンゴーの木

 

チューインガムを持ち込めないとか、ゴミをポイ捨て禁止とか、その辺りは知られていることですが、「ドリアンは公共交通では禁止」とか「家の中でも裸で歩き回るのは禁止」とか、変わり種も結構あり、調べない限り知る由もなしな内容もあるなあと思ってしまいます。

 

まだまだ不思議の国シンガポールです。